WITHOUT SOUNDS

グデグデと夜更かしがちな後追い探訪録

Dinosaur Jr 全フルアルバム感想

ディスコグラフィ
ここでは個人的な解釈によって作品群を4つの時期に分類しています。初期の画像はリマスタ版です。

初期 
ザ・3ピースバンドな、インディーロック全開の疾走感あふれる楽曲が主流。曲の長さも3~4分台が大半だが、熱いギターソロはすでに顕在。ボーカルは既にヘロヘロでも、バンド全体の演奏は凄まじい熱気と勢いがある。その今までにないノイズポップスタイルはソニックユース、ケヴィンシールズ(マイブラ)、スティーブ・アルビニ他多くのミュージシャンから絶賛された(ライブDVDの特典映像にて確認できる)。何がいいたいかというと、グリーンマインドだけじゃなく初期も聴いてほしいのです。


Dinosaur Jr
まだバンドのジャケイメージが固まっていない感

Release:1985
Length:40:25
処女作ながら既にバンドの方向性は明確。当時のインディシーンに端を発しつつ、ハードコアとメタルを経由、BLACK FLAG、Hüsker Düへの憧憬、ノイズ・ラウドギターへの執着を存分に発揮してくれる。しかし音がまだ弱く若干迫力に欠けるきらいがあり、この作品から入るのはオススメしない。グランジと語られることが多いダイナソーだが、この一枚は80s初頭のロックバンド、そして90オルタナの空気間のミッシングピースにも感じる。楽曲は本当に素晴らしく、録音さえキマっていれば実はこれが最高傑作ではと思ったり…と自分の中で2016年現在再評価進行中。
この一曲→ 「Forget the Swan」「The Leper」「Gargoyle」 他
Dinosaur Jr. - Forget The Swan (Live on KEXP) - YouTube 
Rating : 84 / 100 ★★★★


You're Living All Over Me
初期はハードコア的イメージが多い気がする

Release:1987
Length:36:08
初聴きにオススメ。その評価を高めた一作であり、ファン人気も非常に高い。個人的にも最高傑作はコレだと確信するインディーロックの名作。3-4分台の楽曲たちに閉じ込められた熱すぎる演奏、メタル・ハードコア由来の強固なリズムアプローチ、そのくせパワーポップのようなグッドメロディを、心底だるそうに歌いつつ、ギターソロに入ると人が変わったようにキレる。そんなダイナソーの歪な魅力が詰まった必聴盤。「ローファイ」なんて概念が定着する前の世界、やたらハイが浮いたベース音も中々ストレンジだが、再生ボタンを押せば最初に流れてくるノイズロックの名曲「Fury Little Things」のイントロはこの録音だからこそ最高。購入の際は当時のカレッジ・チャートで評判となった名迷カバーの「Just like heaven」収録バージョンをぜひどうぞ。
この一曲→Poledo以外全て 厳選するなら「Little Fury Things」「The Lung」「In A Jar」
Dinosaur Jr - The Lung - YouTube
Rating : 97 / 100 ★★★★★


Bug
バグです

Release:1988
Length:35:24
初聴きにオススメ。これまたインディロックの大名曲、Freak sceneが英国Indie chartに初ランクイン、売上も伸ばし、後に「1001 Albums You Must Hear Before You Die」に選ばれるなどバンドへの音楽的評価を決定づけた一作。基本は前作の延長線上だが、ギタープレイがバッキング寄りになり、メジャーキーが増えポップさが増した点が特徴か。3ピースバンドのお手本のような曲が詰まっており、その内容はやはり必聴。「Don't」はノイズコアの名曲。ボーナストラック収録の「Keep The Glove」は笑うしかないカントリー&ノイズファクトリ―曲なので是非ボートラつきのをどうぞ。
この一曲→ 「Freak Scene」「Pond Song」「Don't」「Keep The Glove」 他
Dinosaur Jr - Freak Scene - YouTube
Rating : 86 / 100 ★★★★☆



リリース直後にベースのルー・バーロウが脱退しており、その後彼はSebadohとして活躍することとなる。


中期(メジャー移籍)
グリーン・マインド(紙ジャケット仕様)
名高い名ジャケ

Release:1991
Length:41:14
初聴きにオススメ。名だたる強者が並ぶ91年組の一角で、Nevermind旋風吹き荒れる少し前、一連のムーブメントの先駆けとしても語られる代表作。作品も英米で初のチャートインを果たし、その知名度を一気に高めている。クールすぎるジャケも超有名。確かに良い作品だが、「轟音」と聞いてこのアルバムに触れると拍子抜けしてしまうかもしれない。作品としてはむしろアコギの心地よいカッティング、キレのあるドラムが聞き所で、他作品とは趣が少し異なっている。何にせよ聴きやすい作品であり洋楽を初めて聴く方にもオススメ。もっと暴れたのが聴きたい方は他作品に手を出しましょう。
この一曲→ 「The Wagon」「Water」 他
Dinosaur Jr - The Wagon - YouTube
Rating : 80 / 100 ★★★★




後期 この頃は所々でアコースティックナンバー、長尺のギターソロバラードが目立つのが特徴。様々な楽器を(ちょびっと)取り入れたり、裏声を多用するなど作曲的にも多少冒険を試みていた時期である。

Where You Been
この辺りでジャケイメージが形成された

Release:1993
Length:47:38
グランジ旋風吹き残る93年に発売され、シングルであるStart Choppin'と共にバンドキャリアで最も成功を収めたアルバム。同時に、ダイナソー史上最も血流の悪い内容を持つ。重い足取りから繰り出される轟音ギターソロの鈍器的な破壊力は異常。初聴きにはオススメできないが、Jのギタリストとして、或いはボーカリストとしての魅力(もちろん一般的な上手いの評価上にはない)が詰まった見逃せない作品でもある。この作品にある沢山のスローバラード、弱弱しい裏声からの劇的なソロの入りという感情の発露には本当に泣けるものがあるオススメ曲は個別記事参考。
Start Choppin' - youtube
Rating : 78 / 100 ★★★★



この作品を持ってドラムであるマーフも脱退してしまい、バンドはJのソロプロジェクトの様になってしまう。


Without a Sound
個人的に一番思い入れのあるジャケ

Release:1994
Length:45:42
初聴きにオススメ。カートの自殺前・グランジの終焉間近に発表され、前作に続き好調な売上を博した(収録シングルFeel the painはmodern Rock chart 4位のヒット曲となっている)。非常にメロディが洗練されており、グリーンマインド二世的な聴きやすい作風からファン人気も高い(はず)。裏にはかなり悲痛な感情が見え隠れしており、当時のJの心境が思いやられる所。制作もフルバンド形式では行われず、大部分をJ一人でこなす格好となった。今作からアコースティック・ギターをメインとした曲も増えており、それは現在のマスシス・ソロ作につながっている。
この一曲→ 「Feel the Pain」「I Don't Think So」「Grab It」「Even You」 他
Dinosaur Jr - Grab It - YouTube
Rating : 85 / 100 ★★★★


この辺りまでが売上的な全盛期。

Hand It Over
個人的に一番思い入れのないジャケ

Release:1997
Length:48:08
前作から3年とかなり間が開いてのリリースとなってしまい、チャートアクションもブレイク後では最も冴えない結果に終わる・「やりきった」としてバンドが解散するなど、ヘタしたら再結成後の作品より影が薄いかも知れない一作(しかもクソジャケ)ところがどっこいその内容は中々の傑作。フルートやストリングスなど少しだけ新しい楽器を取り入れた楽曲陣は解散前とは思えない鮮度を誇っており、Jギターソロバラードの到達点Aloneなど必殺曲も多く、乾涸びた裏声泣きメロとダルッダルなお疲れグルーヴに対してギターソロだけがブチ切れているというマスシス流黄金比が完成を見せた素晴らしいアルバム J自身90年台の作ではコレがフェイバリットらしい(出典記事リンク)。ファンは必聴です!
この一曲→「I'm insane」「Alone」「Can't we move this」 他多数
Dinosaur Jr. - Can't We Move This - YouTube
Alone - YouTube
Rating : 85 / 100 ★★★★





現在 
オリジナルメンバーでの再結成後。曲調としては初期から後期を全部まとめた感じだが、メンバーそれぞれの活動経験がよく活かされており、特にルーの献身が目立ってきている。音楽性は一緒かもしれないが、録音については各作にて明確に方向性が違うのもポイント。そこらの再結成バンドとは違う、活動時と遜色ない作品を発表し続けられるのは、彼らにブレがないから。皆聴こう!

Beyond (Dig)
クソジャ……いやセーフか

Release:2007
Length:49:34
まさかの再結成からリリースされた、バンドとしては10年ぶり、オリジナルメンバーでの制作としては19年ぶりとなるフルアルバム。再結成理由はここらへんの記事が参考になります。再結成といっても、メンバーはそれぞれ自身のキャリアを積み上げていたわけで現役バリバリ。アルバムは円熟を見せつつも、そんなもの置き去りにしていくほどの勢いで突き進む痛快過ぎる内容となっている。今作の録音方針は「アナログ感」。モコモコとした音質から繰り出されるバンドサウンドには悶絶必至だ。評論家からの評価も高く、ピッチフォークで8.4、Allmusicで星4.5を得るなど、その力を見せつけた。
この一曲→ 「Almost Ready」「Crumble」「This Is All I Came To Do」「We are not alone」 他多数
Dinosaur Jr - This Is All I Came To Do
Rating : 80 / 100 ★★★★


Farm
この時期はマスシスソロ含めこんな雰囲気のイラストで固めていた

Release:2008
Length:61:05
何事も無く、普通のバンドが普通にリリースするように発売された再結成二作目。何の因果かここにきてバンドキャリア初の全米チャートトップ30に入り(29位)、前作よりも高い評価を得た。収録時間一時間越えは初で、それぞれ6分7分8分という特大ギターソロバラード3曲の熱演、その世界観の(微妙な)違いが一番の聴きどころだ。全体的に非常に聞きごたえがあるが、長尺かつ録音が「バキバキ」なのが個人的に難点。ただ、一曲目「Pieces」を再生した時の無敵感はやばいし、この辺は好みといったところでしょう。ちなみに自分は本作収録の「Plans」がダイナソーの中でも最上位レベルに好きです。M7のセンチメンタルにマスシスのかすれ声、暴力的なギターソロと最強に見える
この一曲→ 「Pieces」「Plans」「Said the People」「I Don't Wanna Go There」 他
Pieces - Dinosaur Jr. - YouTube
Dinosaur jr. - Plans (stereo HQ) - YouTube
Rating : 82 / 100 ★★★★


I Bet on Sky: Digi-Pak
シュール

Release:2012
Length:46:53
さてさて今回の録音テーマは恐らく「ハイファイ」で、一曲目のカッティングとシンセの鳴りの良さには驚かされる。疾走系、轟音バラード、オルタナパンクといったTHE DINOSAURの魅力を高音質でお届けといった味わい。音と曲の適度な尺という点では最初に聴くのにも向いているかも。
この一曲→ 「Watch the Corner」「Rude」「Stick a Toe in」 他
Dinosaur Jr. - "Watch The Corners"
Rating : 77 / 100 ★★★★


目下最新作『Give a Glimpse of What Yer Not 』はレビュー待機中です。。



編集盤やら何やらはいずれ少しずつ追加していきたいと思います。各自のソロワークも力作揃いなのでファンはチェック。マスシスのソロ作もそうだが、特にルーのセバドー(Sebadoh)は多岐に渡る音楽性と、ローファイの開拓者、インディロック精神を根底にある音楽性から評価が高い。

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