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グデグデと夜更かしがちな後追い探訪録

U2の新作が公式無料DL可能の件、in rainbows、タダで作品に触れることについて

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U2が最新アルバムをiTunes限定で無料配信する前代未聞の取り組みを開始。ボノ「アップルがアルバムの代金を支払ってくれた」 | All Digital Music
U2が仕掛けてきましたね。しっかりとした計算・管理のもと行われたリリースのようですが、やっぱりこうした超大御所がこういうことをしてくると「オォッ」と思います。

内容、地味ですが良いです。流石にもうド派手なキラーチューンとかは用意されてませんけども、適度に軽やかで中々沁みる、安定作って感じでしょうか。自分のTwitterを見る限り、Irisが人気みたいで。自分はパッと聴きEvery Breaking Waveとか好きですね。

さて、今回はこのリリース方法をふまえて、「タダ」ということについてちょっとダラダラ書きたいと思います。


その1 RadioheadのIn Rainbows
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こうしたリリース方法、やっぱりまずはこの作品が思い出されます。Radioheadのイン・レインボウズ - Wikipedia。当時(07年)はYoutubeがやっと生活になじみ始めた位で、Bandcampやらの「name your price」という概念なんて今以上に浸透していなかったワケです。そこであのレディオヘッドの新作が自分で自由に値段を決めてネットからDLできる」「タダでも落とせる」というのはすさまじい衝撃がありました。Yahoo! JAPANのトップ見出しにも名前が踊っていたのを覚えています。ここで、「IT'S UP TO YOU」…多くの音楽ファンに「自分はこの作品に何円払うつもりなのか?」という自問自答をさせたのはかなり大きな意義があったのかな、と今は思います。一手、自分の思考を挟まないといけない感じ。ちなみに実際自分もサイトに赴いてみたんですが、「いやCDが良いんで…」ということでDLはしなかったです。ちょっともったいなかった。

さてこの時のことを思い返して、一番初めに浮かぶのが「やたらリリース方法に注目が集まってるな」ということ。勿論それだけ挑戦・示唆的な試みだったし、語られてしかるべきチャレンジではありました。しかし如何せん自分は「それはそれで面白いけど、ところで内容は?」って感じだったのです。某誌では「果たしてこの作品がリリース形態の革新性以外で今後語られることがあるのだろうか?」みたいな評までありました。酷い。現在では波も落ち着き、In rainbowsは無事レディオヘッドのキャリアの中で位置づけも済み、他作品と違和感なく並んでます。作品自体も高い評価を得、今も作品単体でそこそこ語られています。


その2 U2のSongs of Innocence

さて、U2の今回のリリースです。「iTunes開いたらライブラリにいる、クリックひとつで無料DL可能」というのはすごいですが、今は「spotifyなどを開いて検索、クリック一つでアルバム再生可能」時代なわけで、その点割とインパクトは薄いかも。全く興味ない人含めた全iTunesユーザーのライブラリに勝手に追加されてるというのは「スパム」とも揶揄されてたり、たしかにスマートな感じはしません。そこはU2というよりAppleという存在がある種「縛り」になってしまった気がします。ボノの発言を見ても、何らかの疑問を投げかける「チャレンジ」というより「コラボ先とのプロモーション」という感じ。ともあれこれによって数多くの人、U2…あるいは音楽に興味があまりない人もアルバムをDLして聴いてみる、みたいなことになれば素晴らしいですね。

今はどうしてもリリース方法とそこから生じる議論に目が向いてしまいますが、落ち着いたら他作品と並んでスッキリとした形でアルバム自体が評価されてほしいなと心底思います。というのも、このリリース形態にした結果、今普通ならまず出なかったであろう感想が出てきてるんですよ。「ありがたみがない」とか「思い入れが持てない」など、こんな何とも言えない感想で作品が終わってしまうのは切なすぎる。好きなバンドが作品出したってのに、こんな寂しいことないよ。


その3 そしてタダで作品を聴くことについて色々思う
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でですね。自分は前時代の価値観の持ち主なので、「CD大好きDL出来れば避けたいピーポー」です。好きなものは物で持ちたい、フィジカル大好き人間。(ライブ音源など2.3曲ならともかく)無料DLも未だに若干しっくりこない所がある。最近は発売前に期間限定全曲試聴なんてのもありますが、2.3曲聴いて気に入ったら聴くのやめてフィジカルリリースをワクワクしながら待つような人間です。

そして今回、U2の作品。「こっちがお金を払うことなく公式からポチッとDLしただけのアルバム」。特に思考を挟む必要のない圧倒的なお手軽さ。う~ん確かにいつも通りのノリで受け止めるのは難しい。先ほど紹介した「思い入れが持てない」という感想、自分は分かります。好きなバンドの作品だからこそ、「ハイキケルヨー」じゃなく「出しだぜ!皆バシバシ買ってくれよな!」くらいの勢いがほしい。ここでやっぱり引っかかってしまうのは、「タダ」という部分(あるいはお手軽さ)なんじゃないかと。お金を出したか出してないかで愛着や評価が決まるなんて絶対変だとは思いますが、人間である以上やっぱりそういう要素って絶対ある。難しいですね。今回のU2のリリース形態とその感想を見た時、特にそういうことを思いました。

それでもやっぱり、まずは「作品単体」を値段フィルターかけずに聴くのが一番じゃないかと考えます。インレインボウズも最初そうでしたが、「リリース方法だけ気にされて中身が気にされない」なんて最悪です。作品を完成させたバンドにとっても虚しい。新作への期待がある種肩すかしになってしまったファンの方もいるかと思いますが、まずはU2の新作が聴けることを素直に楽しみたいですね。いつも通り、この曲イイネとか言いあいたいです。なんてったって、推定で5億なんて超規模に届けられるんですからね。


とりあえず興味ある人はDLしてみましょう!iTunesで「Songs of Innocence U2」と検索すれば出てきますヨ。フィジカルリリースは来月ですが、アコースティック盤もつくということなので昔堅気の大ファンは血の涙を流しながらもう少し待機しましょう!
Apple - U2の最新アルバム、公開。
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