WITHOUT SOUNDS

グデグデと夜更かしがちな後追い探訪録

80sインディから90sオルタナへの橋渡し「Dinosaur Jr.」  そしてその今 オススメアルバム、名盤

(2013年初出、2016/10/23全編書き直し)

Dinosaur+Jr+dinosaurjr.jpg 
Dinosaur Jr.は、「轟音」と称されたノイズ(ファズ)ギターとバンドサウンドに、気怠げポップなメロディをのせるという歪な魅力をもったスリーピースバンドだ。彼らは80年代初頭のハードコア、メタル、パンクなどに端を発しながら、90年代のグランジ、オルタナ、ニヒリズムの隆盛を代表する存在でもあり、83~97年、そして2005年から今も活動を続ける大ベテランでもある。長いキャリアの中でも、特にNirvanaの「Nevermind」旋風とともに語られる代表作「グリーンマインド」は有名である。でも、それこそニルヴァーナがそうであるように、ダイナソーも「GREEN MINDだけのバンドではない」じゃないのだ。初期から再結成後、現在に至るまで……一貫してエレキギターとベースとドラム、つまりバンドサウンドの魅力に打ちのめさせてくれるバンド。そんな衰え知らずの恐竜について、また少し違う入口からじっくりと見ていこう。
この名ジャケだけではないのだ

<目次>
オススメ曲
History Dinosaur. Jrとは
入門アルバムと全AL紹介
バンドの位置づけ、関連バンドなど


主要メンバー(J以外の二人は脱退していた時期も。詳細はwikiや後の全AL紹介記事を参照) 
J・マスシス(ボーカル、ギター、時々ドラム)
ルー・バーロウ(ベース) 
マーフ(ドラム)

まずは何よりこの一曲

3rd収録。インディ、カレッジロックの名曲。
 

初めて聞くなら
■<ノイジーなの、グランジの源流が聴きたい!>
2nd You're Living All Over Me
3rd Bug

■<グッドメロディが聴きたい!>
4th Green mind
6th Without a soundあたり。

■<ギターロックが好き!>
どれでもOK


『Ear-Bleeding Country: The Best of Dinosaur Jr』(2001)
一応再結成前にはベストも出ており、輸入版なら物凄く安く入手出来るのでそれをチェックするのも手かもしれない。そこそこ曲が抑えられている。ただ全19曲なので胃もたれには注意。
このバンドに駄作はないので、気に入りそうならどんどんオリジナルアルバムにも手を出してみよう。


Dinosaur. Jrの軌跡
ここからは彼らのキャリアを3つに分けて、バンドについて掘りさげてみる。

インディ期 (1983 - 1990)
最初はインディ期。この曲からいきたい。「Little Fury Things」。
2nd収録。

低予算感すごい録音もさることながら、ワウの使い方を間違えたような無茶苦茶なノイズギター、何を言ってるかわからないシャウトとアングラ感の強い意味不明な動画、かと思えば急に気の抜けた声でパワーポップライクなメロディが流れ込んできて、最終的にはジザメリのサイコキャンディのようなキリキリしたノイズと共に終演してしまうこの3分間。ソニック・ユースのサーストン・ムーアにして「ノイズとポップなメロディを自然に融合させた」と手放しで賛辞を送ったその音楽性。恐竜の誕生だ。

ダイナソーがインディ時代に残したアルバムは、彼らが愛したメタルやハードコア・パンク、ノイズロックにパワーポップといった要素を一塊にしてぶっ放した、最高のインディロックが聴ける代物。特に2nd『You're Living All Over Me』と3rd『Bug』は、多くの名盤ガイドにも並ぶ傑作だ。80年代。ポストパンクが形成したアンダーグラウンドの磁場が強固になっていき、都市それぞれの「インディ」が一つのシーンを形成していた時代。やたら煌びやかなスターたちと聴衆が踊り狂う裏には、そんな歴史の蓄積が確かにあった。そしてそれが、90年代初めに爆発するのだ。もちろんそこに本稿の主役、Dinosaur Jr.もいた。初期三枚は、そんな時代の風景画としても記憶にとどめるべきアルバムだ。

1st 2nd 3rd

この頃の関連バンド・キーワード
・理想とした→MotörheadHusker DuBlack Flag
・先輩、サポート→Sonic Youth(80s)
・ここからのリリースを目標とした→SST Records(当時を知ることができる重要レーベル)


中期 (1991 - 1997)
そして時代は90年代へ。グランジの夜明け、オルタナティヴ旋風。そこまでに、Pixiesの『Doolittle』、Sonic Youth『Goo』(どちらもUSでゴールドディスクを獲得する快挙)といった積み重ねがあったことにしっかり触れたいけれど、やっぱりここはこの一曲から始めるのがふさわしいんだと思う。
4th収録。

駆け抜けるギターライン、ひたすら転がっていくドラミングにキャッチーなメロディライン。何より、キラキラなノイズポップという奇跡(この頃はまだ、この歪ませ方がノイズと扱われた)。ニューウェーブ(ポストパンク)に属したThe Cureの陽の方の感覚がまたひとつ更新されたような名曲だ。メジャーレーベル移籍作『GREEN MIND』。この作品は特殊な制作下にあって~という話はこの記事では置いておいて。Jマスシスの無気力インタビューなどのキャラクターも手伝って、ジャケットともに間違いなくグランジ、オルタナを代表するアルバムとなった。

4th収録
この頃はメディア露出も増えており、ライブで見せる轟音、そして大衆的なハードロックへのアンチとして(ポスト)パンク勢が忌み嫌ったギターソロを本業とするこのバンドの特異性を存分に確認することができる。ここではライブでの名演が多い「Thumb」をひとつ(3:47!)。次作もリードシングルがロックチャート3位、アルバムは全英10位を記録するスマッシュヒット。バンドは絶頂期にある……ように思われた


しかし、その内情は非常に混沌としていたのだ。初期メンバーのルー・バーロウとはメジャー移籍前に完全に袂を分け(ルーはその後Sebadohを結成、こちらはローファイ、宅録という概念に大きな影響を与えた)、ドラムスのマーフも6thに辿り着く前に離脱、Dinosaur Jr.は実質的にマスシスのソロ・プロジェクトになってしまっていた。この頃の作品を聴くと、サウンドこそ力強いが、歌詞の息苦しさにはかなり堪えるものがある。泣きメロを無機質なギターソロで蹂躙していくような『WHERE YOU BEEN』、そしてグリーンマインドの聴きやすさを備えつつも尋常でない悲痛がにじんだ『Without Sound』を94年に発表後、沈黙

3年のインターバル――すでにグランジなんて言葉が死語になってしまっていた――1997年ひっそり発売された『Hand It Over』(見過ごされがちだが秀作)をもって、バンドは活動を停止。全員がソロ活動として違う道を歩んでいったのだ。どうしてもリードシングルを持ってくるとメジャーキーが並びがちなバンドだが、マイナーキーの重い楽曲にこそ魅力が詰まってたりする。ここでは活動休止アルバムとなった『Hand it over』から音の塊のような(ブッチャーズの『yamane』に通じる)大曲Aloneのリンクを貼っておく。
Alone - YouTube

4th 5th 6th 7th



後期 (2006 - 進行形)
……で、2016年の今、嬉しいことにDinosaur Jr.の歴史はそこで終わらない。彼らは何事もなく再結成し、驚くべきことに、ブランクなんて全くなかったかのような勢いで、普通のロックバンドが普通に活動するように、各自のソロプロジェクトと平行させつつ、その歩みを進めている。どれでもいいので一曲再生してみればいい。そのタフさと変わらない魅力には敬意を抱くばかり。


そう言うと「クソマンネリバンド」などと思われそうだが、そうじゃない。いや、間違いなくそうなんだけどちょっとだけ違う。このバンドの凄い所は、未だ尚バリバリの現役で自身のロックを確信し鳴らし続けている所にある。それは彼らが音楽を始めるキッカケとなったルーツを根っこに持ち続け、周り・時代の変化に合わせて無理に変わっていくのでなく、自分たちが活動する中で自然に変わっていく部分を年輪のように広げながら作品に反映させていく…そんなナチュラルなバンド活動が可能にしたものだ。これってロックバンドにとって一番理想的な創作・活動スタイルだと思う。そしてそれは彼らが尊敬する、オルタナ前夜のレジェンド、ボブ・モールド(Wiki)ソニックユース(ブログ記事)らにも繋がる、80年代インディシーンが育んだ理想像の継承でもある。

再結成後の彼らに、中期のように時代に打ちひしがれたようなネガティヴな視点はない(ポップパンク要素が強まって、ハードコア要素がかなり薄れてしまったのは残念だったりも…って蛇足!)。ポジティヴな推進力に満ちた、ストレートなパワーポップ、インディアンセムが並ぶその音楽性。ダイナソーは、時代のトレンドがどうなろうと変わらないギターロックの魅力をこちらに提示してくれる。そして多分、それはこれからもずっと。
8th 9th 10th 11th

2000s以降、歴史的な延長線上を走っているバンド
Cloud Nothings
Yuck(1st) 
(コメント欄にて募集です)


…長々書いたものの、ロックバンドを知るにはアルバムを実際に聴くのが一番。そこからまた、リスナーそれぞれが異なる魅力と歴史を感じながら、違うディティールを掘り下げていくことと思う。そこへのキッカケとして、彼らのキャリア全体になんとなく興味を持ってもらえたら嬉しい。最後に個人的な全アルバム感想記事を置いて、この記事を終えようと思います。

 
アルバム感想へ飛ぶ
参考になるかならないか、バンドのキャリアとともに振り返る全フルアルバムの紹介記事です。もうちょっと詳しく彼らのこれまで(~2013年)を追いたい方、他にはどんな作品あるのという方もどうぞ。 


その他記事

ついに念願だった彼らのライブを見れました……
HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER 2016に行った ~Deerhunter, Dinosaur Jr
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Comments 4

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通りすがり  
No title

Where you been てメンバー抜けて後の喪失感だったのかな。

レッチリ

2016/11/23 (Wed) 15:54 | EDIT | REPLY |   
サム">
サム  
Re: No title

> Where you been てメンバー抜けて後の喪失感だったのかな。
>
> レッチリ

実際の心境は計り知れませんが、
メンバー脱退、予想以上の人気を得ての環境の変化など、
色々と思い感情が乗っかった作品だと聴いてて感じますね。

当時の音楽雑誌を読んだら、カート・コバーンの悲劇に対して、
「ダイナソーのように折り合いをつけてほしかった」というコメントもありました。
重くはあれど、マスシスはそれをしっかり音で発散できていたのかな、とも。

2016/11/27 (Sun) 03:19 | EDIT | サムさん">REPLY |   
モンゴメリ  
No title

ぶっちゃけ昔はダイナソーjrの良さわからなかったんですよね
でも最近マスシスのソロを聞いていいなと、さらにバーロウのソロ聞いていいなと

最後にダイナソーjr 聞いて最高じゃんとなりました

不思議なもんですね

2017/10/06 (Fri) 10:16 | EDIT | REPLY |   
サム">
サム  
Re: No title

モンゴメリさん、コメントありがとうございます。

そういうのありますよね、時間がたって改めると印象が変わること
それがいい方向に働いたときは、何か感動があります笑。逆の時は切なくもありますが…苦笑

二人ともソロ活動の内容がまた素晴らしいですよね。
再結成後のダイナソーはマスシスソロ成分、バーロウソロ成分が地味にブレンドされている気がして
そのあたりも面白いと思います。

> ぶっちゃけ昔はダイナソーjrの良さわからなかったんですよね
> でも最近マスシスのソロを聞いていいなと、さらにバーロウのソロ聞いていいなと
>
> 最後にダイナソーjr 聞いて最高じゃんとなりました
>
> 不思議なもんですね

2017/10/08 (Sun) 16:12 | EDIT | サムさん">REPLY |   

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