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WITHOUT SOUNDS

グデグデと夜更かしがちな後追い探訪録

昔の雑誌記事がブックオフや本棚に眠っているの勿体ないし公式が公開してほしい

ひどいタイトルだ……すみませんもう少しだけ帰らないでください。

先日、こんな記事を読みました。
小野島大×田中宗一郎対談「ブリティッシュ・ロックの今」を考える。2017年の英国を代表するウルフ・アリス新作を題材に:前編 | The Sign Magazine

1万超の文字数で前編・中編・後編に分かれているという特大ボリュームの対談記事なんですが、レッド・ツェッペリン登場の衝撃や70年代前後激動のポピュラーミュージック史、パンクの興りをリアルタイムで体験してきた「小野島 大」氏と、同じくパンクから80年代のPrince、90年台テクノ、Radiohead、雑誌Snoozerにて00年台インディと音楽、世界を見てきた「田中 宗一郎」氏。40年という生身のタイムスケールを持った両氏の対談は、(企画の目論見どおりに)見出しの主役であるWolf Aliceを越えて、四方八方へ話が飛んでいきます。多様な視点と多角的な文脈から幾通りもの"当時"が語られていく記事進行は滅茶苦茶面白いです。たぶん同年代の方には異論もあるかと思いますが(ぜひ色んな方の"当時"を聞きたい)、話七分くらいで信じてもこの広がりはとても楽しかった。

せっかくなのでWolf Aliceの動画をひとつ。先行シングルがこれと「Yuk Foo」なのもすごい振り幅ですね。


今回記事を書いたのは、まぁこの対談記事が素晴らしかったことを話したかったのが一つと、こういう生身の密な歴史を感じられる記事を読んだことで、自分の頭の中にずっとありつつも、そこから出すまでもないかと思っていたある思い、それをちゃんと外に書き留めたくなったのでした。

ということでここからの内容は全て自分の脳内戯言になっています。他愛なく、実現に向けた提案もないんですが、例えば「何かの作品に触れたとき、それについての記事を読み漁りたくなるひと」や、「自分のブログで勝手に感想や調査結果みたいな記事を更新したくなるひと」などには、ちょっと共感してもらえるんじゃないかな、と思っています。Twitter、ストリーミング、動画配信と毎日を過ごしていると、「気になるもの」はいくらでも増えるんで、「気になった(実際にふれた)後」のワンステップが本当に大切だなと実感するんですよ。「すごい(すごかった)」とか「面白そう(面白かった)」が、色々な物事に楽しく繋がっていく、もっと広がりやすくなれば良いな、と。

それではでは。ここまで前段、本題に入っていきます。


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1/4.昔の雑誌記事って極端にアクセスしづらい
古い雑誌を読むのが元々結構好きで、ブックオフあたりでたまに漁るんですが、1993年発売のミュージック・マガジンとか読んでると、「あぁこれは中古屋で偶然見つけないと読めないんだなぁ」……としみじみ感じます。雑誌って、全体を通したコンセプト(メッセージ)はもちろん、その中にある「これは」っていう企画や評、そこも大きな価値で。そういうページって時代を問わず今も昔もあるはずですが、昔のは、その印刷された数ページにアクセスすることが難しい。雑誌は一種の生もの的な存在でもあるとは思いますが、良いものは残ってほしいし、参照したい。

すごくいい概説があったとして、それがコレクターの本棚や何処のブックオフで冬眠しているなんて勿体ない!と思うわけです。それこそたまにTwitterで昔の雑誌の数ページを撮った画像がアップされますが、それがいい内容だと、何だかなぁと。んで公式サイトいってみら「品切れ」とかで、たまにAmazonとかから買えもしますが、いや、そもそも印刷物じゃなくてテキストが読めればいいんだけどってなる。90年台前くらいだと完全にコレクターもんですし(黄ばんでもいるし)……。


2/4. バックナンバーの内容を「検索」かけて読みたい
これは特に音楽の分野でなんですが、「(アーティスト名) (アルバム名)」でザックリGoogle検索かけて何かを調べようとした時、その結果が「Amazon」「タワレコオンライン」「HMV」etc.と通販サイトばかりだった時のコレジャナイ感。"調べる"って意味だと、機械的なテンプレ商品解説が並ぶ通販サイトがいくつ出てきても意味がなくて(「NAVERまとめ」も9割7分イマイチ)

逆に個人的に嬉しいのが、クレジットから縦横無尽に関係者を漁れる「Discogs」、独自レビューも展開する「disc union」、そして"mikiki"、"ele-king"といった「メディアの音楽サイト」、あとは探求心 or 愛ある「個人ブログ」です。この中で、自分が見たいような、私見まじりの広がりある話を書いてるのは「メディアの音楽サイト」と「個人ブログ」だけなんですよね。そして、前者は昔の作品に対してのアーカイヴが足りなく(公開されていない、ネット移行が比較的遅い)、後者は各人の趣味なので質を含む量には限界がある。

ここに、インターネットが発展していく前に幾多も刊行されていた、「雑誌の過去記事」が増えたらありがたいと思うのです。最近のとかじゃなく(それは発売も伝わってるし買えるので)、今更増版なんて絶対しない、15年20年あるいはもっと前の古いやつ。その辺をもっとWebから読めないか、刷らずとも公式サイトに公開されないかなぁと。

New York Timesは4万6592号分ものバックナンバー配信をどう実現したのか
だからこういうのとか素晴らしい取り組みに思うんですよね。自分たちの過去記事に価値があることを確信して、"アクセスできる"ようにしている。メディアとして、とても信頼のおける行動と思います。
『Jazz The New Chapter 4』柳樂光隆(監修)×荒野政寿(編集者)インタビュー
日本の音楽メディアだと、やっぱり「Jazz The New Chapter」でしょうか。雑誌発売→来日などに合わせて記事一部公開→反響を得てブランドイメージ上昇→次刊へ…という流れが非常に理想的に出来ているように感じます。



  ※Amazonリンク
3/4.全てでなくてもこんな過去記事が読みたい
とはいっても、幾星霜を経たバックナンバーすべてをネットの海に漂わせるのは現実的ではない。そこで、自分としては、せめてこういうのだけは読みたいというのが2つあります。

ひとつ目、「名盤発売~周年!」とかのタイミングで、老舗メディアの発売当時レビュー記事を読んでみたい。例えば、もしミュージック・マガジンが「Abbey Road、祝発売50周年!当時のMMではこんなレビューを書いていました……」みたいな呟きをTwitterで発信したら、自分なら興味本位に絶対リンク踏みます。内容はどうあれ。今は名盤の地位だけど発売当時はそうでもなかったやつとか!

ふたつ目、特に見てみたいのが……ビートルズやレッド・ツェッペリンくらいの人気と音楽的遺産を持ったミュージシャンだと、同じメディアが節目節目で何度も特集記事を組むじゃないですか(レコード・コレクターズとかね)。その特集の、「あるアーティストの年代ごとの観点の変遷」みたいなのを比較してみたい。例えば、「2000年時の特集では、~~なバンドが多くて、フォークの視点からこのアーティストを再評価したい」→「2017年は、~~がリバイバルしており、ハード・ロックの視点から……」みたいな、そういう時代時代のアングルの違い。そうした違いがないなら特集組みなおす必要なんてないし、それがあるなら過去記事も最新号もどっちも読みたいね、って話です。歴史が積んできた何となくの権威やイメージでなく、具体的に実際の過去記事でこれが出来てるメディアだと分かれば、ものすごく信頼がおけると思うのですが。


4/4.時の流れに埋もれさせてしまうよりは
先ほどのNew York Timesのバックナンバー公開記事ですが、佐々木俊尚氏の「新しいメディアの教科書」では以下のような事例も紹介されています。http://amzn.to/2yUoBzG

映画 『それでも夜は明ける 』が二〇一四年のアカデミー賞を受賞した日、ニューヨークタイムズは公式ツイッターアカウントで、映画の主人公の実在の人物ソロモン・ノーサップの事件が書かれた百六十一年前の記事を紹介した。(中略)新興メディアのゴーカーがこのツイ ートを見つけ、記事を要約して自分のメディアで紹介し、大きく拡散したのだという。

161年前の事件の映画化に対して当時の自社記事を紹介」出来るというのは流石に極端な例ですが、(ここで時空を超えて話題になった結果、こんな展開にまで。それだけ反響があったんですね→『NYタイムズ紙』、1853年のスペルミスについてお詫びと訂正。、この過去記事をクリックしたくなる気持ちは大いに共感でき、これは10~20年前くらいのスケールでも同じことと思います。

もうひとつ、同著にはこういう指摘もあって。具体的な数字が引けていない印象論なんですが、この実感というか確信は理解できる。

新聞は 「ニュース 」という新しい情報を届けるメディアだと思われているが、実は過去記事もとても重要だ。音楽や舞台、書籍、グルメといった文化的な記事は特にそうで、良い芝居が長い期間にわたって上演され続けていれば、演劇のレビューが新着記事として書かれた以降も、レビューを読みたい読者は少なくないはず 。


コストとそれに見合うニーズが本当にあるのか……っていうのはかなーり怪しくはあります。そもそも色々と無理なんだろうし。ただ、少なくとも、この記事をここまで読んでくれたような方――ここまで約3500文字――には、それなりの需要がある気はします。将来的には「メディア」 + 「作品名(アルバム名)」でタグ検索とか出来たら嬉しいですね(俺が)。きっと隔世の感ある内容や雑魚適当記事がワンサカ出てくると思うんですが、それも楽しそうで。そういう過去の言説を誰かが拾い上げて、皆で「しょーもな」とか「これは今思うと結構いいこと言ってた」とか呟きあうの、有意義に思うんですよね。過去記事から掬いとった何かを、誰かが思い乗せなおして今にブログからネットの野に放ってくれたりしたら最高。このブログでもよく取り上げるUSインディしかり、そういうのが本当に好きなので……。青空文庫じゃないですが、ボランティアとかでも、軽くなら手伝いたいくらいです。


毎度毎度長いんじゃ。
まとめると、「ストリーミングサービスや配信サイトなどで過去にアクセスしやすくなった今こそ、"当時"(= 過去テキスト)にもアクセスしやすくなってほしい!」という個人的な夢語りでした。

<追記>
思考停止しながらAmazonで「過去記事」と検索したらこんなん出てきました。まずはここからでも……そして目玉記事はウェブ公開を……そんな流れでお願いします
 にしてもこの商品画像、斬新ストレートすぎる


次回はCourtney Barnett & Kurt Vileの新譜の記事を投稿予定です。かなりラフで、完成度事態は各々のソロに敵わないと思うんですが、いやほんと、全体の雰囲気と「Over Everything」最高なんですよ……。それではまた。
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